一 経済的リストラ
(『労働契約法』第41条、46条、47条 『労働契約法実施条例』第19条 『企業従業員年次有給休暇実施弁法』第12条)
1、実体上の要件
A企業破産法の規定により会社更正をする場合
B生産経営に重大な困難が生じた場合
C企業の製品の大幅な変更、重要技術の革新又は経営方式を調整する際に、労働契約の変更を行っても、なお人員削減が必要となる場合
Dその他労働契約締結の際に根拠とした客観的経済状況に重大な変化が生じたことにより、労働契約が履行不能となった場合
2、手続上の要件
人員を20人以上削減する必要がある場合、又は20人に満たないが企業従業員総数の10パーセント以上を削減する必要がある場合、以下の手続を履行しなければなりません(20人か、企業従業員総数の10パーセントのいずれを同時に下回る人員をリストラする必要がある場合、上記実体法上の法定要件を満たさなければならないことに注意する一方、労働契約の一方的な解除における手続上の要件満足にも注意する必要がある)。
A30日前までに労働組合又は従業員全体に対して状況を説明する
B人員削減案を作成する。その内容は、a リストラ従業員のリスト、b リストラ実施予定時間及びプロセス、c 法律規定及び団体契約に合致する経済補償金の支給方式
C人員削減案につき、労働組合又は全体従業員の意見を求めた上、修正する
D人員削減案及び労働組合又は全体従業員の意見を報告する
E人員削減案を公布し、労働契約解除手続を履行し、a経済補償金、b年次有給休暇を支給し、c退職証明を発行する。d社会保険の移転手続を労働契約の解除日より15日以内履行し、e関連従業員の労働契約を2年間保管する必要がある(具体的に、協議解除についての説明をご参考)。
3、優先継続雇用人員及び再締約義務
経済的リストラの場合、以下に掲げる従業員を優先して、継続雇用しなければならなりません。
A当該事業主と比較的長期の固定期間労働契約を締結している者
B当該事業主と無固定期間労働契約を締結している者
C家庭にその他の就業者がなく、扶養が必要な老人又は未成年者を有する者
6か月以内に新たに人員を募集及び採用する場合、削減した人員に対して通知し、同条件のもと、削減した従業員を優先して募集及び採用しなければなりません。
4、経済的リストラにならない人員
A職業病の危険に接する作業に従事する従業員が、離職前に職業健康診断を行っていない場合、又は職業病の疑いのある病人が、診断期間又は医学観察期間にある場合
B当該事業主において職業病を患い、又は業務により負傷し、かつ、労働能力を喪失又は一部喪失したことが確認された場合
C疾病又は業務外の原因による負傷で、所定の医療期間内にある場合
D女性従業員が、妊娠期間、出産期間又は授乳期間にある場合
E当該事業主における連続勤続年数が満15年に達し、かつ、法定退職年齢まで5年に満たない場合
F法律及び行政法規に規定するその他の事由がある場合
5、経済的リストラのフローチャート
6、注意事項
従業員保護の立場から、法律上には、経済的リストラにならない人員を規定する一方、法定手続の履行にも厳しく要求されています。
したがって、企業はそれらの手続上の履行義務にも注意する必要があり、とくに、義務を履行したを証明することができる証拠を保管するする必要があります(当然、実体上の要件に満たせることを証明できる証拠を保管しなければならない)。
具体的にいえば、以下の通りです。
30日前の通知、説明義務につき、労働組合又は従業員大会と会議を開いて、その期日、場所、内容、出席人数、発言内容(企業側、労働組合又従業員側)、従業員が如何に自分の意見を企業に知らせるか、その具体的な措置を講じたなどを詳細に記載する書面書類を作って、保管しておきます。
人員削減案を作成する同時に、労働組合又は従業員大会の意見を記載する書面書類を作成しておきます
労働行政機関に報告します。その許可を貰わなければ経済的リストラを実施できないと法律上には特に要求されていないが、地方によって、行政機関はこれを自分の許可権限だと理解している場合も見られます。この場合、弁護士を通じて、行政機関に説明することが考えられます。
また、経済補償金、年次有給休暇の支給及び労働契約解除後の注意事項についても、注意する必要がありますが、協議解除における注意事項と同じ、ご参考ください。
二 協議解除
(『労働契約法』第36条、46条、47条、48条、50条 『労働契約法実施条例』第19条 『企業従業員年次有給休暇実施弁法』第12条)
1、法律の根拠
第36条
企業と従業員が協議により合意した場合、労働契約を解除することができる。
2、注意事項(経済補償金及び年次有給休暇につき、以下の法定基準より社内基準は従業員にもっと有利な場合、社内基準に基づき執行する)
A協議解除書類の作成
B経済補償金の支給及び計算方法
a当該事業主における勤務年数の満1年ごとに1か月の賃金を支給する
b勤務年数が6か月以上1年未満の場合、1年と計算する
c6か月に満たない場合、半月分の賃金の経済補償を支給する
d月給が、現地前年度従業員月平均賃金の3倍を超える場合、前年度従業員平均賃金の3倍の金額を支給し、最高12年を超えない
e月給とは、労働契約の解除前12か月の平均給与をいう
その支給証明を保管しておく必要があります。
C年次有給休暇の支給
当該年度に従業員に享受すべき年次休暇を全て労働契約解除日前に支給する必要がある。さもなければ、未享受年次休暇賃金を支払わなければなりません。
D退職証明の発行
E社会保険の移転
解除日より15日以内
F労働契約の保管
労働契約を少なくとも2年間保管しておく必要がある
3、協議解除のフローチャート
三 自宅待機
(「自宅待機」という文言を用いる現行法律、法規上の規定は見られません。これは従来の実務上の法概念であり、最新の案例にも確認されたものである)
1、法律の根拠
国の規定
『賃金支給暫行規定』(労部発[1994]489号)
第12条 従業員の以外原因で、企業が作業停止、生産停止になり、その期間は一つの賃金支給期間内の場合、労働契約の賃金約定基準に基づき、従業員に賃金を支給しなければならない。一つの賃金支給期間を越える場合、もし従業員は正常勤務を提供するなら、従業員への支給する賃金が現地最低賃金基準を下回ることができない。もし正常勤務を提供しないなら、国の関連規定に基づき、処理する。(下線は筆者により)
地方規定
各地には、それぞれ独自の基準を定めています。
A北京
本市最低賃金基準の70%を下回らない。『北京市賃金支給規定』第27条。
B上海
本市最低賃金基準を下回らない。ホットラインにも尋ねた。『上海市企業賃金支給弁法』第12条
C深チン 一ヶ月以内本人標準賃金の80%、一ヶ月越えるなら、最低賃金基準の80%を下回らない。『深チン市従業員賃金支給条例』第28条
D江蘇省 本市最低賃金基準の80%を下回らない。『江蘇省賃金支給条例』第31条、
E大連
規定不明『遼寧省賃金支給規定』第35条
2、注意事項
企業は「自宅待機」実施する際、以下の注意点につき、気を配る必要があります。
A企業が一方的に賃金待遇を変更することは、違法行為であるため、企業が作業、生産停止になったことを自ら証明する必要がある。場合によって、完全に生産停止ではなく、生産任務不足で、一部作業を停止するケースもあり、一部の従業員を「自宅待機」にさせることができるかどうか、「自宅待機」従業員の選定基準とか、慎重に検討する必要がある。
B「自宅待機」期間の賃金待遇につき、国の規定がある一方、各地の基準は異なることに注意する必要がある。また、最初の賃金支給期間内、たとえ作業、生産停止していても、労働契約に約定された賃金支給基準に基づいて支給する必要がある。
C「自宅待機」従業員との労働関係が存在しており、労働期間が存続している。関連する社会保険待遇を引続き納付する必要がある。
D「自宅待機」を実施する際、「自宅待機」規定の作成及び公布にも注意する必要がある。万全な措置は、a従業員と協議し、b従業員の意見を聞く手続を行う、C従業員に公示する、という。しかも、紛争を防ぐため、関連する証拠を保存する。
四 派遣従業員の返還
派遣従業員を派遣元企業に返還できるかどうかにつき、『労働契約法』、『労働契約法実施条例』など関連法律規定には明確な規定が存在していせん。
したがって、以下、主に実務上の経験及び法律条文の解釈に基づき、二つの場合を分けて、説明していきたいと考えます。
1、派遣協議期間満了し、派遣従業員を派遣元企業に返還する場合
派遣元企業と締結した労務派遣協議に基づき、派遣期間満了に伴って、派遣先企業は当然、派遣従業員を派遣元企業に返還することができます。
この場合、派遣元企業は、無職期間にある派遣従業員の法律責任を負い、現地最低賃金基準を下回らない基準をもって、派遣従業員に賃金を支給します(労働契約法第58条第2項)。
派遣先企業にとって、注意する必要があるのは、派遣元企業と締結した労務派遣協議に基づき、派遣先企業と派遣元企業との権利義務関係を明確しなければなりません。さもなければ、違約責任を追及されかねます。
2、労務派遣協議期間中、派遣従業員を派遣元企業に返還する場合
『労働契約法』第65条第2項には「派遣従業員に、本法第39条、第40条第1項及び同条第2項に規定する状況があった場合、派遣先企業は、派遣従業員を派遣元企業に戻すことができ、この場合に、派遣元企業は、本法の関連規定に基づき、従業員との労働契約を解除することができる」と定められています。
『労働契約法』第40条には「以下に掲げる事由の一つがある場合、企業は、30日前までに、従業員本人に対して書面により通知し、又は別途従業員に対して1か月分の賃金を支払った後、労働契約を解除することができる。
A従業員が、疾病又は業務外の原因により負傷し、所定の治療期間満了後においても元の業務に従事することができず、かつ、雇用事業主が別途手配した業務に従事できない場合
B従業員が業務に堪えることができず、研修又は職位を調整しても、なお業務に堪えることができない場合
C労働契約締結の際に根拠とした客観的状況に重大な変化が生じ、労働契約が履行不能となり、雇用事業主と従業員との協議により、労働契約の内容変更について合意に至らなかった場合(下線は筆者により)
『労働契約法』第65条第2項には、派遣先企業は第40条第3号に基づき、派遣従業員を派遣元企業に返還できるかどうかのみにつき、明確な規定は定められていないため、厳格的に法律解釈に基づく立場から出発し、派遣先企業は第40条第3号に基づき、派遣従業員を派遣元企業に返還することができないという見解が見られます。
これに対して、第65条第2項には、第40条第1号、第2号の適用のみを強調し、第3号の適用が明確されないという立法形式は、少なくとも、派遣先企業が、第3号に基づき、派遣従業員を返還することができることを直接的に否定していません。何故かというと、第65条第2項は派遣従業員には何らかの情況があった場合、派遣企業が派遣従業員を返還できることを説明するが、第40条第3号は企業にはこの企業のみに属する情況があった場合、労働契約を解除できることを述べています。当然、直接的に派遣従業員に出てくる情況として引用することに相応しくないゆえに、第65条第2項には、第40条第3号があった場合、派遣先企業は派遣従業員を返還することができると規定されていません。したがって、派遣先企業は第40条第3号に基づき派遣従業員を返還することができないという法律解釈に拘る上記見解は間違っていると主張しています。これは目前の通説でもあります。
当職らは客観的状況に重大な変化が生じ、労務契約が履行不能な場合、派遣従業員を派遣元企業に返還することができる見解を支持しています。この場合においても、返還できないとすれば、派遣という弾力性かつ融通性を有する雇用形態の意味の大半はなくなるのではないかと考えます。
作者:高嵩 潤明法律事務所パートナー弁護士(北京大学法学部卒業、元北京第2中級人民法院裁判官)
作者:周暘 潤明法律事務所弁護士(早稲田大学法学研究科 法学修士)
「人民網日本語版」2009年2月12日