日本では自動車やオートバイなどを走り回し、危険な運転や騒音などで周囲に迷惑を与える集団を暴走族と呼ぶが、中国ではそれに当たる言葉が「飆車族(一説は「飆車党」)」である。
中国では「飆車族」の数は日増しに増えている。ここ数年来、猛スピードで車を運転する行為が中国でも多くの大都市に現れ始めている。これは「飆車族」を描く映画『頭文字<イニシャル>D』に宣揚されたライフスタイルが現実生活に浸透してきているともいえる。北京では「二環十三郎」が現れたことがある。「二環十三郎」は「飆車族」の別名であり、13分間の暴走で北京の第二環状線(長さ約33キロ、制限速度は場所によって違うが、時速60-80キロ。渋滞のせいで実際の平均時速は50キロ以下)を一周することを目指す若い運転手たちを指す。上海では道路状況のよい高架道は「飆車族」が活躍する主要な場所にもなる。
昨年5月、世界一の海を跨ぐ大橋―杭州湾大橋が正式に開通した。その後すぐに「飆車族」の天国になった。大橋が開通した後の1カ月以内に、大橋の制限速度100キロをオーバーした運転手は計4200人に達したという。時速200キロ近くの速度で走ったために捕まった運転手は140人を超えているという。
昨年5月16日、BMW車を運転するある温州楽清の人が杭州湾大橋で時速204キロというスピードオーバーの違反記録を更新した。「飆車王」というあだ名を持つこの人は杭州湾大橋でのスピードオーバーのため、運転免許証が取り上げられた。
繁華街をF1道にした前出の杭州の胡斌のように「街を自在に飛び回る感覚」を体験するために公共の安全を脅かし、惨事を引き起こす。昨年3月18日夜、杭州の聞涛路で散歩する30代の夫婦が疾走してくる黒のマツダ6(アテンザ)にぶつかり、2人とも死亡した。夫はぶつかって、銭塘江の中に墜落した。聞涛路の制限速度は40キロだったにもかかわらず、目撃者によると、事故を起こした車は少なくとも時速100キロ以上であったという。
中国交通部門の統計によれば、スピードオーバーによる交通事故はすでに交通事故総数の80%を占めている。都市部で「飛び回る感覚」を体験するために暴走する「飆車族」は、実は法律と市民の生命権に挑戦している。
今回杭州のこの悪質事故を引き起こした三菱スポーツカーは判明しているナンバープレートから、上海-杭州間の高速道路で210キロの速度で走ったという違反記録が交通部門のデータベースに残っている。上海-杭州間の高速道路の制限速度(120キロ)の50%をオーバーしていたにも関わらず、なぜ、法律に基づいて運転免許証が取り上げられなかったのか。法律執行の甘さも「飆車族」が気兼ねなく暴走している一因ではないのだろか。
[後記]
5月15日に杭州市公安局の常務副局長兼報道官の鄭賢勝氏は、5月8日に杭州交通管理局が開催した記者会見で事故を引き起こした車両の時速が70キロとの言い方が妥当ではなかったと認め、正式に謝罪した。
当日午前、王平杭州市委書記はネット上でユーザーと懇談した際、「杭州は『飆車族』に対し、スピードオーバーなどの交通違反行為には"聖域なき取締り"の方針を堅持し、公安交通警察は専属で厳しく取り締まり、マスコミと市民の積極的な協力を希望する」と声明した。
5月20日、胡斌は交通事故罪の疑いで正式に逮捕され、まもなく起訴される。それと同時に被害者の遺族は加害者の親と損害賠償の金額に合意した。あわせて113万元(約1450万円)、中国の史上最高額の交通事故損害賠償となった。(了)(執筆者:祝斌?北京在住の社会問題ウォッチャー)
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