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唯冠とアップル社の「iPad」マーク所有権をめぐる争い

唯冠科技(深セン)有限公司(深セン唯冠)が商標を侵害したとして米国アップル社を訴えた訴訟の審理が、22日に上海市浦東新区人民法院(地裁に相当)で始まった。原告と被告の双方は商標侵害についての証拠を確認し、裁判所は深セン唯冠による関連製品の販売差し止めの請求とアップル社による審理中止の申請について意見を聴取したが、判決は下さなかった。

▽深セン唯冠はタブレットコンピューターiPadの販売差し止めを要求、アップル社は審理中止を要求

深セン唯冠が今回訴えたのはアップル社の中国法人・苹果貿易上海有限公司。原告側によると、原告側は2つの「IPAD」商標を保有し、いずれも有効期間内にあるが、アップル社はこれらの商標に酷似した「iPad」のマークを使用し、登録商標の専用権を侵害した。このため、原告側はアップル社にiPadマークを冠したタブレットコンピューターの販売を停止し、アップルストアなどの場所にあるiPadマークを撤去し、iPadマークを含む宣伝用品を廃棄するよう求めた。

アップル社の代理人によると、アップル社のiPad商標は合法的なものであり、同公司の販売方法に誤りはない。米国のアップル社が深セン唯冠からIPAD商標を買い取ったことには法的根拠があるという。

またアップル社によると、商標は未登記の状態で買い取ったものであり、契約法に基づいて取引が完了している。深セン唯冠側が信義に背いて契約を履行していないのだという。

アップル社と深セン唯冠は深セン市中級人民法院(広東省)でも争っているが、最終的な判決はまだ出ておらず、国家商標局の行政プロセスもまだ完了していない。このため民事訴訟法の「案件は別の案件の審理結果に依拠しなければならず、別の案件が結審していなければ、訴訟を中止しなければならない」との規定に基づき、アップル社は上海の商標権侵害裁判の審理中止を申請している。上海浦東法院は販売差し止めについても、申請中止についても、まだ回答を出していない。

▽双方が証拠を提出し、IPADの所有権を主張

証拠を交換して確認し合う場面で、深セン唯冠は4組17点の証拠を提出し、同公司がIPAD商標を保有していること、コンピューターの周辺設備のディスプレーなどにおける商標の専用権を保有していることを証明した。審理の中で、同公司の代理人がIPADマークを使用した製品の実物として高精細ディスプレーを提出した。

だがアップルの代理人は深セン唯冠が提出した証拠の真実性、合法性、関連性を大幅に否定。同公司がかつてIPAD商標を保有していたことを否定はしなかったが、実物の証拠として提出されたディスプレーについて疑義を呈した。

商標の売却問題について、深セン唯冠は証拠を挙げてIPAD商標がなお同公司のものであることを証明した。一方、アップル社の代理人はこの商標は2010年にアップル社に売却されており、2011年6月に売却は完了しているとした。またIPAD商標10件の売却について述べた電子メールを証拠として多数提出し、商標売却をめぐる話し合いの詳細を明らかにした。取引は最終的に3万5千ポンド(約440万円)で成立し、費用は深セン唯冠が指定した唯冠電子株式有限公司(台湾唯冠)に支払われた。

だが深セン唯冠によると、中国の商標法に照らせば、商標の売却には合意への調印が必須であり、商標局に申請して審査に合格し、公告を出して初めて可能になる。アップル社は最終的に10ポンド(約1250円)の対価で英国のIP社からIPAD商標8件を買い取ったが、紛争を引き起こした2つの商標をいまだに取得できずにいる。

▽深セン唯冠とアップル社の紛争は中国の商標法と司法実践にとっての試練

上海大学知的財産権学院の陶キン良教授によると、中国の商標法では先に登録した者の権利を保護すると同時に、使用する中で商業的価値が高まった未登録の商標も保護する。これは商標法の立法の主旨であり保護における初志であるという。

陶教授は「一つの商標は先に登録され、一つの商標は広く名を知られている。法律の枠組の中で利益や権利のバランスをどのように実現するか。これは商標法の立法や制度構築、また司法の英知に対する挑戦だといえる」と話す。

アップル社が深セン唯冠の大陸部におけるIPAD商標を実際に買い取ったかどうか、深セン唯冠のIPAD製品とアップル社のiPad製品とが紛れているかどうか、iPadがアップルのグローバル化を通じて一般化し、商標の属性を喪失しているかどうか。こうした問題については解釈が待たれる。

▽これまでの経緯

2000年、唯冠国際持ち株有限公司の傘下にある唯冠台北公司は複数の国と地域でiPad商標を登録し、2001年に深セン唯冠も大陸部でiPad商標を登録した。

2009年、アップル社はIP社を通じて3万5千ポンドの価格で唯冠台北のグローバル規模のiPad商標を買い取った。だが大陸部のiPad商標の所有権は唯冠台北にはなく、深セン唯冠の手中にあったため、アップル社が大陸部市場に進出すると双方の間で紛争が生じた。

また2009年末、八大銀行の代表で構成される債権者会議で唯冠に対する債務の再編が決定し、和君創業管理諮詢有限公司が唯冠科技(深セン)有限公司の債務再編の顧問となり、2010年には和君創業が唯冠の八大債券銀行に呼びかけてアップル社に100億元の損害賠償を請求した。

2011年12月5日、アップル社はiPadの大陸部における商標権をめぐって唯冠科技を訴え、深セン市中級人民法院が下した一審判決ではアップル側の請求はすべて棄却された。

2012年1月5日、アップル社は広東省高級人民法院に上告した。

2012年2月14日、アップル社は香港の法律がアップル社を支持しているとする公告を発表した。

2012年2月17日、唯冠側は記者会見を開いてアップル社の公告を否認するとともに、海外でアップル社に対して関連の訴訟を提起することを明らかにした。同日、順電連鎖株式有限公司の恵州家華支社が、裁判所で敗訴と認定された初めてのアップルの取次業者になった。

2012年2月20日、アップルの新たな弁護士事務所が唯冠の創業者・楊栄山氏に書簡を送った。

2012年2月22日、深セン唯冠が苹果貿易上海有限公司を訴えた裁判の審理が正式に始まった。

「人民網日本語版」2012年2月26日