中国社会科学院法学研究所副所長の謝増毅氏は開会挨拶の中で、「生態環境法典の編纂は『民法典』に次ぐわが国の重要な立法プロジェクトである」と述べた。そのうえで、「生態環境ガバナンスは人間と自然との関係のみならず、複雑な社会関係にもかかわるため、学際的な討議を通じて、体系的かつ多角的な政策提言を提供することが、法典編纂作業の推進および中国独自の生態環境法学知的体系の構築に資する」と強調した。
参加者は、「人間と自然の関係に関する哲学的原点」「エコロジー哲学」「法典と文化的表現」「生態ガバナンスの社会構造」「民族地域における生態的知恵」「グローバルな生態ガバナンスの動向」「技術革新によるガバナンス様式の再構成」「動物保護理念の法制化の道筋」などのテーマについて活発に議論を行った。参加者らは、生態環境法典の編纂にあたっては体系的思考を貫き、中国における生態環境ガバナンスの歴史的・文化的精髄を掘り起こし、それを具体的な法典条項の設計に反映させるべきであるとの見解で一致した。
その具体的内容として、以下の三点が挙げられた。
第一に、「中華優秀伝統文化の継承と発展」である。伝統的な「生生(せいせい)」思想といった中華優秀伝統文化を創造的に転換・発展させることにより、生態法治の価値的源泉を提供すべきである。
第二に、「制度的イノベーションの重視」である。地球規模の気候ガバナンス、AIによるエネルギー転換の促進、国立公園制度などの実践的経験を踏まえ、新たな制度的枠組みおよび多元的ガバナンス・モデルを模索すべきである。
第三に、「学際的融合の推進」である。生態環境法典の編纂は極めて複合的な領域を含むため、異なる分野の専門家の参画が、体系的かつ包括的な草案の策定に寄与するだけでなく、生態環境法学の知的体系そのものの深化にもつながると指摘された。
参加者らは総じて、生態環境法典の「中国的表現」の構築とは、既存制度の単なる統合ではなく、中国の伝統文化、現実国情、そしてグローバルな環境ガバナンスの諸要素を総合的に考慮し、独創性と先導性を備えた法治的解決策を形成することであるとの認識を示した。将来の生態法典は、価値、制度、技術変容の三者の間に堅固な協働構造を築くことが求められる。
シンポジウムの総括として、中国社会科学院法学研究所エコロジー法研究室主任の劉洪岩氏は、「本会議は従来の単一学科型会議の枠を超えて、多領域にわたる深い対話のプラットフォームを構築した。これは生態環境法典編纂に対して重要な理論的支えと知的資源を提供したものである」と評価した。
本シンポジウムは中国社会科学院法学研究所が主催し、同研究所エコロジー法研究室が共催した。


