2024年3月27日、中国社会科学院法学研究所、国際法研究所が共催した海外名家フォーラム第2回が北京で開催された。今回のフォーラムは、米コロンビア大学法学部中国法律研究センター主任のリーベン(Benjamin L.Liebman)教授を基調講演者として招き、講座のテーマは「人工知能と米国の法律体系」である。
講座の開始前に、法学研究所国際法研究所連合党委員会書記、法学研究所所長の莫紀宏研究員がリーベン教授と会見した。双方は法学研究所国際法研究所とコロンビア大学法学部及び中国法研究センターとの友好交流の歴史を回顧し、今後も協力していくことで意見を集めた。
講座でリーベン教授は、人工知能の急速な発展に伴い、米国の知的財産権法、不法行為法、刑法、憲法などの分野で新たな法律問題が生じていると紹介した。知的財産権の分野では、著作権として保護された材料が許可なく人工知能のビクモデル訓練データとして使用されたことによる訴訟が発生しており、例えば「ニューヨーク・タイムズとマイクロソフトの間の訴え」「著者協会などがOpen AIを相手とした訴え」などがある。訴訟には時間がかかるため、このような事件の多くは審理中であり、判決はまだ形成されていない。不法行為法の分野では、米国の法学界では人工知能が製品責任法を再構築し、人工知能を製品と見なすかサービスと見なすかによって権利侵害責任の違いが生じると一般的に考えられている。しかし、一部の学者は、現行の法律が人工知能による不法行為法の新たな問題を規範化するのに十分だと考えている。刑法と憲法の分野では、人工知能の発展に適応するために、正当な手続き、プライバシー保護などの面での憲法規範の見直しを主張する学者がいる。また、顔認識には誤り率とアルゴリズム偏見があり、合法的な逮捕の合理的な根拠にはならないと考える学者もいる。
リーベン教授は、人工知能の発展は監督管理制度にも影響を与えていると指摘した。現在米国科学技術の急速な発展により、監督管理関連措置が適時に追いつけず、既存の規制措置は行政命令を主とし、国会立法は一時的に欠員している。大統領が発布した行政命令は、人工知能会社が政府と情報を共有し、基準を高め、技術をアップグレードし、安全性を高めることを要求している。国会は人工知能立法について多くの議案を持っているが、様々な理由で体系的な法律を可決していない。現在、18の州で何らかの形の人工知能に関する立法や決議が制定されているが、ほとんどの内容はその影響を検討し、安全性を提案することであり、取る行動は限られている。
リーベン教授はまた、米国の行政と司法実践における人工知能の応用状況を紹介した。
法学研究所の謝増毅副所長が講座を主宰した。国際法研究所の丁賽副所長は、法学研究所国際法研究所及び中国社会科学院大学から30人余りの学者及び学生が講座に参加し、人工知能生成作品の知的財産権、人工知能大模型キャプチャデータの合法性、米国人の人工知能国会の立法が遅い原因、人工知能の使用と制限などに関する問題について交流した。