張浩然:『情報の私力制御と法律保護について』
張浩然著
法律出版社2023年版
【内容の概要】
財産の法律秩序の構築には、法律創設と事実関係の確認という2つのモデルがある。有体財産保護では、前者が所有権であり、後者が占有保護である。情報財産保護も同様にこの2種類の経路に従い、情報は無体性、伝播性の特徴を持っているため制御されにくく、既存の制度は主に法律の権利設定モード(例えば著作権、商標、特許などの知的財産権)を採用し、情報制御の事実に基づく保護モードは商業秘密、技術措置などの断片化制度に散見され、研究は局部に限られて体系化されなかった。デジタル時代に入って企業の情報制御能力は空前の発展を遂げ、情報私力制御はすでにデジタル空間情報財産保護の主導モードになっており、これに対して体系化研究を急ぐ必要がある。本書では現在のビッグデータ集合保護論争を視点として、法律設置権モデルと保護情報私力制御の2種類の経路の効率優劣とそれぞれの適用条件を分析し、知的財産権法上の技術措置、商業秘密保護及び民法占有制度を結合して、情報制御事実法律保護の体系的位置づけと制度構築を検討した。研究によると、民法の占有制度を基礎として、情報制御事実に対する法律保護の一般的なメカニズムを確立し、法定知的財産権と事実権利の相補的な制度体系を構築し、ビッグデータなどの絶えず発展する情報財産保護のニーズに対応すべきであると考えられる。
【著者プロフィール】
張浩然、山東臨朐人、中国社会科学院法学研究所助研究員、中国人民大学法学博士、主な研究分野は知的財産権法学である。