著者:孫憲忠
2014年以来、中国の司法改革の体系的な展開に伴い、司法責任制、司法人員分類管理、司法人員職業保障、省級以下の地方裁判所人財統一管理などの司法改革措置が全国でロット別に推進され、裁判所の事案処理人員が簡素化され、司法手続きが次第に速くなった。法治主義の下で、我が国の司法事案はますます多くなっているが、定員裁判官の数が少なく、裁判官の処理圧力が比較的大きい。民事裁判の分野では、判事らが法条主義的な現象を見せている。「中華人民共和国民法典」(以下「民法典」と略称する)の編纂が完了したことによって、この巨大な「民法典」はすでに我が国社会のすべての民法問題を規定しており、民法のすべての問題が法律条文に十分に反映されているため、現在民事事案を処理するのに相応する法律条文を適用すればよいという意見が多い。このような状況で、多くの裁判官が事案を裁判する際、法典全体を考えずに具体的な条文一つだけを見て、その条文の上下左右を問わず、民法典総則を無視して法の基本原理に関係なく、具体的な条文が見つからない場合は事案を先送りして消極的に処理する。張軍院長が批判する機械式司法と消極的司法がそれである。したがって、張軍院長と最高人民裁判所が能動司法を提示したのは適合性があるのである。
体系的かつ科学的な思考は非常に重要であり、これは実体法の観点から能動司法を推進して機械式司法と消極的司法を解決する基本指導思想である。民法典の貫徹という側面で能動司法に対する助言は三つある。
第一に、能動司法を理解するためには、人民中心の立法思想を深く正確に理解しなければならない。民法典は編纂当時から「人民中心、共有制経済保護、市場経済の取引安全維持、社会正義の実現」などの立法思想を貫徹することを中央政府が明確に要求してきた。民生と関連しては、国民中心の立法思想をさらに強調し、民法が施行される際には民法が規定した意味を十分に理解して食べて立法者の法思想を現実化しなければならない。
第二に、能動的な司法を正確に理解するためには、人民の法感情、すなわち法に設定された権利と義務関係に対する感情を深く体得しなければならない。結局、人民大衆は法律上の主体であり、国家の主体だ。裁判官は法条文を理解する際、民衆の感情を考慮して、民衆の法感情的欲求を理解しなければならない。ある企業が主張すると、裁判所は庶民が長年居住してきた住宅を家宅捜索し、関連世帯数が多い(西南某省の企業は1000余世帯の家宅捜索を主張する)、こんな社会的影響は司法の正義追求に合致するだろうか。この数年間、人民裁判所が司法の社会的効果と政治的効果、法的効果の三つを同時に考慮しなければならないと主張してきたが、不動産差し押さえ問題についてはこれらの地方裁判所がこのような原則を考慮しなかったことは明らかだ。
第三に、能動司法を貫徹するためには、事案分析と裁判の法理を理解し、分析と裁判の法的技術を正確に身につけなければならない。例えば、財産権と人身権との明確てきな区分、物権と債権との明確てきな区分、有形財産と無形財産は明確に区分され、権利変動に必要な法的根拠も明確に区分されなければならない。また法的行為という観点から、当事者の意思自治原則の貫徹を理解し、当事者の効果的意思がその中で果たす中核的な役割を理解し民事主体の自己決定権を十分に定着させた上で、この基本思想に従って民事事案を審判しなければならない。法の貫徹過程で人民を尊重し、民事主体の法感情を尊重することが私たちのマジノ線に違いない。
したがって、能動司法は単純な司法体制、実体法あるいは手続き法の問題ではなく、より顕著なのは法律理解と適用上の問題であり、実体法の工夫が必要である。裁判所の同志たちが能動的司法を理解して推進することに啓発されることを願う。
著者:孫憲忠、第12期、第13期、第14期全国人民代表大会常務委員会委員、全人代憲法と法律委員会委員、中国社会科学院学部委員、法学研究所一級研究員、中国社会科学院大学法学部特別招聘教授。
出典:「中国応用法学」2023年第4期。